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よろず小説とたまーに日々のつぶやき
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「お、あったあった」
 かつては何かの船だったらしい遺跡の中、1人の少年が目当ての金属部品を
手際よく外していく。
「みゃう」
「近くにあるのはこれで全部か、サンキュー」
 足元でモソモソ動く毛皮の塊に声をかければ、みゃう、と答えが返った。よく
見れば、それは背中に袋を背負った子熊の形をしている。
「取れるモンは粗方取っちまったし、ここに来るのも今日が最後だな」
「みゃうう」
「買い叩かれなきゃ、お前にハチミツでも買ってやれるんだけど…」
「みゃっ!?」
 ハチミツと聞いたとたんに子熊の目がキラキラしだしたのを見て、少年は苦笑した。
「ほら、とりあえず今日のところは帰ろうぜ」
「みゃーう」
 遺跡の外に出れば、そこは古戦場が広がっている。大昔の星間戦争の名残り
らしく、周囲には墜落した戦闘機や戦艦の残骸が見渡す限りに転がっていた。
 少年の名前はジン。古戦場の端にある『雷神の社』と呼ばれる遺跡に住みながら、
発掘を生業として暮らしている。『雷神の社』そのものは、この場所が戦場になる
より昔から存在していた建物らしいが、あまりに古すぎて誰も由来を知る者はいない。
 捨て子だった彼を拾い、孫として育ててくれた祖父母は『社の守り人』と呼ばれる
人達の末裔だったそうだが、詳しいことを教えてもらう前に亡くなってしまった。
 それ以来、彼は祖父が遺してくれた熊型アンドロアニマルの剣王と2人だけで
過ごしている。
「しっかし、『雷神の社』から取って『ジン』なんて大層な名前だよなぁ。大昔の
言葉で『ヒト』って意味もあるって祖母ちゃんは言ってたけどさ」
「みゃ」
「お前の『剣王』もだって? お前のAIが見つかったのが、でっかい剣のモニュメントの
中だったんだから仕方ねーじゃん」
「みゅ~う」
 不満げな鳴き声を上げる剣王の頭を、クシャクシャと荒っぽく撫でてジンは笑った。
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登場人物

ジン
 黒髪に黒い瞳の少年。
 彼の暮らす地域の人々は、基本的に明るい色の髪や瞳をしているために
その色は不吉がられる。
 そのため、人の多い場所に行くときは顔全体を布で覆い、ゴーグルをして
髪と瞳を隠す。
 赤ん坊の頃に古代遺跡に捨てられていたのを、その遺跡をねぐらとして
発掘作業をしている老夫婦に拾われて育てられたが、既に亡くなっており、
現在では一人で遺跡の発掘をし、その成果を売って暮らしている。
 彼の暮らす遺跡は『雷神の社』と呼ばれており、育ての親達からは
「おまえは雷神様の申し子だよ」と言われていた。

剣王
 ジンの相棒。子熊の形をした半生体アンドロアニマル、毛皮の色は黒褐色で
モフモフ。遺跡で発掘されたAIユニットを使って造られている。
 幼い彼の遊び相手として制作されたが、空気成分を解析して有毒ガスなどを
検知する能力や希少鉱物を探知するレーダーなどが搭載されており、発掘作業を
行うのには欠かせない存在。
 AIには他にも隠された機能があるようだが…?
 鳴き声は「みゃう」、ハチミツやママレードが大好物だが滅多に手に入らない。
 学校ネタはキッズアニメごちゃまぜパラレルです。非常にカオス空間なので
軽いノリについてこられる方だけどうぞ。

 よく晴れた日の放課後、校内に突如として轟音が響いた。
  ドジャーーーーーン!
 「何だ今の音!?雷でも落ちたか!?」
 「センセー!ムネリンが漏電してチャウシン死にかけー!!」
 そう叫びつつ消火器を手にして校庭の端に走ってきた担任、日向仁に天童遊は
叫び返す。
 「……漏電?」
 「あああ…それじゃ意味わかんねぇだろ、遊!それに、漏電じゃなくて放電!」
 「えー」
 ぶー!と頬を膨らませる遊の隣にまで来て仁が見たのは、肩で息をしている角谷正宗と
髪や服の一部が焦げ、地面に突っ伏してピクピク痙攣しているチャウシンの姿だった。
 「コイツがっ!オレのっ!し、尻をさわっ…!!」
 チャウシンを指差しながら半泣きで訴える正宗の身体には、紫色の電流がバリバリと
音を立てながら纏わりついている。
 「と、とりあえず落ち着け、落ち着いて電撃止めろ正宗。お前今まわり中に静電気撒き
散らしてるから!オレらまで微妙にしびれてるから!」
 「パチパチして痛いよー、ムネリーン」
 「つまり、なにか、チャウシンにセクハラされて、ビックリした拍子に放電したんだな?」
 仁に聞かれ、正宗はコクコク頷いて見せた。
 「で、被害者のチャウシンはうちの学校までなにしに来たんだ?ベイバトルか?」
 「ムネリンのこと口説きに来たって言ってた~♪」
 「自業自得かよ…たく、よいせっ!」
 気絶しているチャウシンを肩に担ぎ上げると、まだパリパリとかすかな音を立てている
正宗の頭をポンポンと叩く。
 「とりあえず正宗、お前も保健室だ。電撃垂れ流したままじゃ家に帰れねーだろ。
銀河、レイが教室残ってるかも知れないから見てきてくれ。外から制御してやるか、余分な
電気吸い取るとかしてやんないとダメっぽい」
 「行って来ます!」
 「遊はダーシァンに連絡して、チャウシンを迎えに来てもらってくれ」
 「ハーイ。ボク携帯番号知らないから、翼のトコ行ってくるー」
 遊を見送り、空いている方の手で正宗の背中を押した。
 「ほら、行くぞ?」
 「…センセー」
 「ん?」
 「センセーはオレの電撃、平気なのか?」
 「まぁ、オレは無敵だからな」
 そう言ってニヤリと笑ってみせた初等部教諭は、確かに頼もしかった。
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