「お、あったあった」
かつては何かの船だったらしい遺跡の中、1人の少年が目当ての金属部品を
手際よく外していく。
「みゃう」
「近くにあるのはこれで全部か、サンキュー」
足元でモソモソ動く毛皮の塊に声をかければ、みゃう、と答えが返った。よく
見れば、それは背中に袋を背負った子熊の形をしている。
「取れるモンは粗方取っちまったし、ここに来るのも今日が最後だな」
「みゃうう」
「買い叩かれなきゃ、お前にハチミツでも買ってやれるんだけど…」
「みゃっ!?」
ハチミツと聞いたとたんに子熊の目がキラキラしだしたのを見て、少年は苦笑した。
「ほら、とりあえず今日のところは帰ろうぜ」
「みゃーう」
遺跡の外に出れば、そこは古戦場が広がっている。大昔の星間戦争の名残り
らしく、周囲には墜落した戦闘機や戦艦の残骸が見渡す限りに転がっていた。
少年の名前はジン。古戦場の端にある『雷神の社』と呼ばれる遺跡に住みながら、
発掘を生業として暮らしている。『雷神の社』そのものは、この場所が戦場になる
より昔から存在していた建物らしいが、あまりに古すぎて誰も由来を知る者はいない。
捨て子だった彼を拾い、孫として育ててくれた祖父母は『社の守り人』と呼ばれる
人達の末裔だったそうだが、詳しいことを教えてもらう前に亡くなってしまった。
それ以来、彼は祖父が遺してくれた熊型アンドロアニマルの剣王と2人だけで
過ごしている。
「しっかし、『雷神の社』から取って『ジン』なんて大層な名前だよなぁ。大昔の
言葉で『ヒト』って意味もあるって祖母ちゃんは言ってたけどさ」
「みゃ」
「お前の『剣王』もだって? お前のAIが見つかったのが、でっかい剣のモニュメントの
中だったんだから仕方ねーじゃん」
「みゅ~う」
不満げな鳴き声を上げる剣王の頭を、クシャクシャと荒っぽく撫でてジンは笑った。
かつては何かの船だったらしい遺跡の中、1人の少年が目当ての金属部品を
手際よく外していく。
「みゃう」
「近くにあるのはこれで全部か、サンキュー」
足元でモソモソ動く毛皮の塊に声をかければ、みゃう、と答えが返った。よく
見れば、それは背中に袋を背負った子熊の形をしている。
「取れるモンは粗方取っちまったし、ここに来るのも今日が最後だな」
「みゃうう」
「買い叩かれなきゃ、お前にハチミツでも買ってやれるんだけど…」
「みゃっ!?」
ハチミツと聞いたとたんに子熊の目がキラキラしだしたのを見て、少年は苦笑した。
「ほら、とりあえず今日のところは帰ろうぜ」
「みゃーう」
遺跡の外に出れば、そこは古戦場が広がっている。大昔の星間戦争の名残り
らしく、周囲には墜落した戦闘機や戦艦の残骸が見渡す限りに転がっていた。
少年の名前はジン。古戦場の端にある『雷神の社』と呼ばれる遺跡に住みながら、
発掘を生業として暮らしている。『雷神の社』そのものは、この場所が戦場になる
より昔から存在していた建物らしいが、あまりに古すぎて誰も由来を知る者はいない。
捨て子だった彼を拾い、孫として育ててくれた祖父母は『社の守り人』と呼ばれる
人達の末裔だったそうだが、詳しいことを教えてもらう前に亡くなってしまった。
それ以来、彼は祖父が遺してくれた熊型アンドロアニマルの剣王と2人だけで
過ごしている。
「しっかし、『雷神の社』から取って『ジン』なんて大層な名前だよなぁ。大昔の
言葉で『ヒト』って意味もあるって祖母ちゃんは言ってたけどさ」
「みゃ」
「お前の『剣王』もだって? お前のAIが見つかったのが、でっかい剣のモニュメントの
中だったんだから仕方ねーじゃん」
「みゅ~う」
不満げな鳴き声を上げる剣王の頭を、クシャクシャと荒っぽく撫でてジンは笑った。
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