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よろず小説とたまーに日々のつぶやき
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 切ない系お題のはずなのに、なんかほのぼのラブ。
 如月の趣味によりカイタカです。



+ + + + + + + + + +




その方が落ち着くから

 むぎゅ、と目の前で揺れる布の端を握り締める。
 「…なんだ、木ノ宮」
 「なんとなく。ふわふわしてたから」
 ふ、と軽いため息をついてカイは後方にいるタカオを振り返った。
 「心配をかけたのは分かってるが、それを引っ張られると俺の首が絞まるん
だがな」
 「分かってるなら、心配かけるようなことすんな」
 ブルックリンとの試合で負った傷が完治したばかりのカイ、病院嫌いの彼は
入院先から脱走を試みるのが常だったが、毎日毎日タカオが見張りに来る
ので逃げるわけにも行かなかったのだ。
 「今回は逃げなかったけど、お前いつどこ行くかわかんねぇんだもん」
 「しばらくはどこにも行かん。…仕事が溜まってるからな」
 「会社の仕事で忙しくなかったら、またどっかに修行に行っちまうんだろ?」
 またため息が落ちる。
 「今度はお前もついて来るんだろうが。約束しただろう」
 「ついて行くけど…」
 「そんなに信用がないか、俺は」
 「なんか…捕まえてないと不安なんだよ」
 この前の世界大会中、激しい情緒不安定に陥ったタカオの心情を考えると
下手なことも言えない。意外と繊細なのだ、この愛しい世界チャンピオンは。
 「いいから、手を離せ」
 「う~」
 しぶしぶと言った様子でマフラーの端から手を離すと、テテテっとカイの
そばへ寄ってくる。
 「じゃあ、手貸せ。手!」
 「………仕方ない」
 今度はカイがしぶしぶ手を差し出すと、ぎゅっと力をこめて握り返された。
 「へへっ」
 無邪気に笑うタカオの顔を見て、カイの表情も緩む。

 ―こうやって、ずっと一緒にいられたらいい。ずっと、ずっと

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